今では歯科治療のひとつとして認知されているインプラント治療。
しかし、インプラント治療の歴史は大変古いものです。現在のインプラント治療の成功に到るまでには、様々な人の活躍がありました。ここではインプラント治療が始まった時代から現代までの流れをお伝えしていきます。気軽に受けることができるようになったインプラント治療。その背景を知ることで、より一層自分の歯や口内に愛着がわくことでしょう。インプラント治療をされた経験のある人もこれから治療を予定している人もぜひ目を通してみてください。
目次
紀元前にさかのぼる、インプラント治療の歴史
最も古いインプラント治療の痕跡は、紀元前と言われています。
ミイラからサファイアの歯根が発見されたという話も、インプラント治療のひとつであったのではないかという説もあります。ただし、この時点では生前の治療か、死後の儀式として行われた内容かという判断はできません。
しかし、その後も抜け落ちた永久歯の代わりに、鉄や金、サファイアやステンレスなど様々な素材が試されていた形跡が残っています。人類にとって、歯はとても重要なものです。噛むことができなければ、食べること・栄養を摂取することができません。はるか昔の人々も歯を失ってしまった段階で何か代わりになるものを入れようと必死になっていたと言えるでしょう。
インプラント治療を大きく活性化させた「チタン」
現在、インプラント治療で最も多く使われているチタン。
このチタンが発見されたのは1952年のことです。スウェーデンのブローネマルク博士が研究を行なっている最中、チタンの特異性を偶然発見しました。他の素材では見られない「骨に拒否反応を起こさない」という特性を元に研究を進め、1965年には歯科で人間に対して実験を行い見事に成功を収めました。ブローネマルク博士は、この実験結果を学会で発表。チタン素材がインプラント治療に取り入れられるようになった20世紀後半、インプラントは大きく飛躍しました。
機能性重視に、審美性がプラス
インプラント治療後に仮歯を入れることが一般的になったのは1980年代のことです。
しかしこの段階ではまだまだ機能性重視。審美性が問われるようになったのは、1990年代後ごろのこと。この頃から歯科医師の技術向上に再生医療というジャンルの進化も重なり、機能的で見た目も美しいインプラントが求められるようになりました。その中で画期的なインプラント治療の発明をしたのが、ポール=マロ博士です。総入れ歯の患者でも上下4本ずつのインプラント埋め込みで、治療を可能にする「オールオン4」と呼ばれる方法を開発。歯の悩みを抱えている多くの患者さんを救う基礎をつくりあげました。現在、多くの歯医者にてオールオン4の治療方法を選択することが可能です。